重力波とは

アインシュタインの予言

重力波、それは光速で伝わる時空のさざ波です。これは1916年にアインシュタインが発表した一般相対性理論から予言される波で、その存在は1980年代にハルスとテイラーらにより間接的に証明されています。彼らは中性子星連星PSR1913+16の軌道を10年以上にわたり観測することで、その距離が重力波の放出によって徐々に近づいていくことを発見しました。この業績により彼らはノーベル物理学賞を受賞しました。
2015年9月14日,米国の重力波検出器LIGOがブラックホールの合体から発生する重力波の直接検出に成功しました。これは,画期的な成果であると共に,重力波天文学という全く新しい研究分野の幕開けを告げるものです。

アルベルト・
アインシュタイン

重力波の発生源

重力波は質量を持った物体が加速度運動することで放射されます。しかし観測できるほどの大きな振幅の重力波を発生させるには、高密度で非常に大きな質量の物体が加速度運動する必要があります。したがって重力波の発生源としては以下のような天体運動、天体現象が挙げられます。

    • コンパクト連星の公転イメージ図NAOJ
    • コンパクト連星の衝突合体イメージ図NAOJ
    • 中性子星の自転イメージ図NASA
    • 超新星爆発イメージ図NAOJ
  • 初期宇宙からの重力波NAOJ

重力波の検出

重力波の検出実験はウェーバーらのチームが共鳴型検出器を作製した1960年代からスタートしました。その後多くの研究グループが同じ方法で重力波検出実験を開始しましたが,現在はレーザー干渉計型検出器が主流となっています。重力波は自由質量間の固有距離を変化させる性質があります。そこでレーザー干渉計型検出器ではレーザーを使って鏡と鏡の間の固有距離を測定します。このとき鏡は自由質量と同様に振る舞う必要があるので,ワイヤーを使って振り子のように吊られます。
レーザー干渉計型重力波検出器の基本となるのはマイケルソン干渉計です。マイケルソン干渉計はビームスプリッターでレーザーをL字にわけ、再びビームスプリッターに戻ってきた光を干渉させる装置です。ビームスプリッターの一方に置かれた光検出器では,干渉後の光の強度を測定します。干渉計に重力波が到来すると一方の腕の光路長が伸び、もう一方が縮むため、ビームスプリッター上での干渉状態が変化します。光検出器に入る光の強度変化をモニターすることで,重力波を検出することができます。

  • レーザー干渉計の概念図概念図

地上干渉計重力波検出器

現在地上検出器で主流となっているのはレーザー干渉計です。レーザー干渉計は基本的には腕を伸ばすほど重力波に対する感度が上がるため、なるべく大きな装置を建設することが要求されます。
国立天文台には基線長(腕の長さ)300mのレーザー干渉計TAMA300が設置されています。TAMA300は世界の大型干渉計計画に先がけて、1999年に観測を始めました。当時の世界最高感度や初の長期観測などを成し遂げました。米国のLIGO,伊仏共同プロジェクトのVirgoはkmスケールの干渉計です。ドイツのGEOは次世代技術の開発にフォーカスした600mの干渉計です。これら第一世代の大型干渉計型重力波検出器は2000年代初頭から半ば頃に運転を開始しました。現在,LIGOとVirgoは第二世代の構成へとアップグレードされています。二本では,岐阜県神岡町の地下にkmスケールの重力波検出器KAGRAを建設するプロジェクトが進んでいます。LIGOによる重力波初検出を先駆けとして,これら大型検出器の世界ネットワークが稼働すれば,より詳細な情報を重力波から引き出すことが可能になり,真の重力波天文学時代の幕開けとなるでしょう。

  • TAMA300センタールーム
  • ワイヤーで懸架された鏡撮影 ニコン技術工房

宇宙干渉計重力波検出器

地上検出器では,低周波における様々な雑音やサイズの限界によって,低周波の感度を向上させることが困難です。初期宇宙からの重力波や大質量ブラックホールの合体など,低周波の信号を検出するために,宇宙空間に重力波検出器を建設するプロジェクトが提案されています。欧州のeLISAプロジェクトでは,一辺100万kmの三角形をした干渉計を太陽周回軌道上に3台の宇宙船で構築することを目指しています。日本の研究者は,大きさ1000kmの宇宙空間干渉計でeLISAとは異なる周波数帯の重力波を狙う,DECIGO計画を推進しています。国立天文台の研究者は,DECIGOに関する技術開発研究に参加しています。

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